未完成のエコハウス

高性能な家の使い方を探るブログ

興味深い建材2:シュタイコ

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画像は建材トレンドさんHPからお借りしました。

シュタイコとは、ドイツの「シュタイコ(STEICO)」社が作っている木質断熱材です。

1 シュタイコの特長

○ 熱容量が多い

 シュタイコの熱容量は2100kJ(kg・K)です。熱容量とは、熱を取り込んだまま保持できる量のことです。熱容量が多い断熱材を外から温めても、断熱材で囲まれた内側の空間は、なかなか温まりません。断熱材が、熱を溜め込んでいるからです。実際に採用された家では、夏の昼間に物凄い熱波を家が受けても、室温の変化は外気と同期せず、およそ一定に保たれます。

 この熱容量という概念は、Ua値やC値と比べてあまり認知されておらず、それを計算までしている木造の施工会社を見つけるのはなかなか困難です。

 ただ、国交省のWEBプログラムにも一応170kJ/㎡kという目標値があります。特に、宅地が狭いうえに、どんどん分筆されていく日本では、付加断熱の厚みを増やしようがないケースもあるため、断熱性能を熱容量でカバーしようという考え方も以前からあるようです。日本には土壁がありましたしね。

 一方、注意点もあります。熱容量が多いということは、エアコンで部屋を温めても断熱材が熱を吸収してしまうので、「暖かいな」と思うまでの時間がかかります。暖冷房の立ち上がりが悪いということです(一度温めてしまえば、保温効果は高い)。また、夏の昼間に蓄えた熱を夜に放出するので、夜はやや熱くなります。それでも、昼間よりはエアコンの負荷はかかりませんので、昼間に合わせた大きなエアコン選定をする必要がない点で、メリットはあります。

 ちなみに、セルロースファイバー55kの熱容量は1300kJ、グラスウールやロックウールの熱容量は1030kJです。断熱材の中では、圧倒的な優位性があります。建材の蓄熱容量は、IBEC(建築省エネ機構)に一覧がpdf化されています。

○ 熱伝導率はまずまず良い

 シュタイコの熱伝導率は0.038w/m2・kで、一般的な高性能グラスウールと同じです。他の木質断熱材を見てみると、ウッドファイバーは0.038、イーストボードは0.049、ホルツフレックスは0.038、セルロースファイバーは0.040ですので、木質断熱材の中では悪くない建材になります。

○ 木質断熱材の中で安価

 厚さ100mmの1平米あたりのカタログ価格は、ウッドファイバーは4000円、セルロースファイバーは壁など不織布を貼る55kの場合、大手のデコスで5500円です。それに対して、シュタイコは2500円。グラスウールやロックウールには敵いませんが、木質断熱材の中では価格としても優等生です。

イーストボードやホルツフレックス、パヴァテックスは調査中です。イーストボードは外張りを想定しているのか、100mmは見つかりませんね。。

○ 防音性能が期待できる

 シュタイコの密度は50kg/m2なので、防音性能が期待できます。また、シュタイコなどの木質断熱材は成形後、圧縮せずに運ばれることにも注目です。圧縮できないということは、地震時にも沈下の可能性が少ないということです。

 

○ 耐火性がある

 ウレタン系と違って、耐火性があり、燃えても有害ガスは出ません。ただ、どんな素材であっても燃焼時に一酸化炭素は出るので、逃げる時間が延びることに期待しない方が良いと思います。この手の話は、専ら準防火認定で自由に使えるかなど、規制との兼ね合いで出るでしょう。

○ 調湿性能がある

 セルロースファイバーと同等以上の調湿性能があります。私は断熱材の調湿性能はそこまで気にしていませんが・・・。

○ 実績が長い

 シュタイコがドイツで売り出されたのは1986年。日本よりも遥かに家づくりの規制が厳しく、木質断熱材の普及率が高いドイツでこれだけ使われてきた実績があるものは、安心感があります。

 一方、日本でウッドファイバー社の製造を始めた(株)木の繊維が発足したのは、2007年。その後、製造会社である(株)木の繊維は体制が変わり、(株)ウッドファイバーとなっています。(株)木の繊維の時代は、ウッドファイバーのブローイングもあったのですが、会社が変わってからはなくなってしまったんですよね。現在、私がブローイング施工をHPで見付けられるのは、埼玉県の工務店だけでした。後は、ドイツの建材をいろいろ取り扱う会社とか・・・。セルロースファイバーの上位互換になり得る素材だと思っているので、今後の拡大に期待です。

2 おすすめの使用場所

○ 屋根(充填)・天井

 日本で取り扱われている「シュタイコFREX038」は充填用です。おすすめは、やはり屋根。鎌倉パッシブハウスで何とか採用にこぎつけてウッドファイバーを使った場所も、屋根でした。これからさらに暑くなることが予想される日本の家には、ぜひ検討したいですね。また、木質ということで防蟻処理してもシロアリ被害のリスクはありますが、カンザイシロアリでない限り、防蟻処理された家には屋根までシロアリが昇ることは少ないので、その面でも屋根、ということになります。

 天井桁上断熱もおすすめですが、この場合は、セルロースファイバーに不織布を貼る手間がなくなり、価格が160mm程度で2500円/㎡まで落ちますので、後は一棟ごとに見積もりして判断することになるかもしれません。やはり、ブローイングの方がカットする手間や、断熱欠損のリスクは少ないですしね。

○ 壁(充填)

 壁にセルロースファイバーを入れると5500円/㎡ほどかかります。それを思うと、こちらもコストメリットがあるかもしれませんね。

3 日本の取扱店

 日本では、(株)イケダコーポレーションさんや、(株)クボデラさんが輸入代理店として取り扱っています。クボデラさんについては、2020年6月から開始なので、これから注目ですね。

4 なぜ日本で木質断熱材が普及していないか

○ 価格が高い

 最も有名なウッドファイバーは、材料代だけで4000円/㎡です。グラスウールの倍ですね。これに施工費が加算されるので、断熱材としては高額です。海外製の木質断熱材も、在庫品がなければ輸入になるので、コストが読めません。(シュタイコも、安いのは在庫品がある今だけかもしれません。)

○ 製造・取り扱い会社が少ない 

販促、流通力に限界があります。工務店の認知が少ない段階と思われます。

○ 採用の実績が少ない

 取り扱う工務店が少ないので、当然、施工実績も少ないです。一般の施主から見ても調べにくい建材ですね。

5 おわりに 

 木質断熱材は、CO2を取り込んだ木を使い続けることになるので、地球温暖化の進行抑制にも効果があります。世界的な問題の改善に貢献できる健在ですので、できれば採用したいですが、まだコストが高いですね。大手メーカーのどこかがプランの1つとして採用し、価格競争の突破口を開いてくれることを願っています。

 お読みくださり、ありがとうございました。